カロリナハコガメに挨拶するエイヴィッサ
春から秋にかけての季節でも、子どもたちが裸足で外をかけまわるという時代ではなくなりました。
木のぼり、隠れ家つくり、陣地とり遊びに夢中になり、夕方お母さんに呼ばれるまで外で過ごすということもなくなりました。
今の子どもたちは、ある意味バーチャルな世界に住んでいるのです。
しかし、違う時間の過ごし方もあってよいのではないでしょうか。
足を泥だらけにして、木に登るスリルを味わい、ルリツグミの子どもがいる巣を見つける楽しさを経験することはできないのでしょうか。
人間能力開発研究所のなかの小さな学校の生徒たちには、毎年1週間、自然のなかで食事をし、眠り、冒険をする機会があります。
生徒たちは年間を通じて学校で、生物の分類について学んでいます。
動物界や植物界の門、綱、目、科、属、種などの分類です。
毎年6月に1週間のキャンプを開催し、生徒たちは自然の中で動物や植物について学ぶのです。
生徒たちはすでに動物や植物について豊富な知識があるので、自然について容易に楽しく学ぶことができます。
その場の環境と、身の回りのためのチェックリストにしたがって、もれなく整理整頓ができていることを確認したら、皆で朝食をとり、自然のなかでのフィールド活動が始まります。
自然のなかでのサバイバル体験チームは、テントのメンテナンス、応急処置やサバイバルのための指導などをします。 この研究所付属の学校の卒業生で、現在国連安全保安局職員であるヴィクトリアの指導のもと、アリアナとハンナはけが人や意識不明の人をどのように安全に運ぶかを実践しています。
アメリカで一般にブルーバードと呼ばれているルリツグミは、以前はこのあたりでは最もよくみられる鳥の一種だったのですが、生息できるところが少なくなってきて、絶滅が危惧されています。
金曜日の朝には、年少の子どもたちがお母さん、お父さんとこの年に一度の自然体験キャンプにやってきます。
上級生が準備をし、コーチとしてサポートします。
毒性のあるツタ、ウルシ、ナラ科の樹木とその薬としての利用法、ルリツグミの保護プロジェクト、野生植物の花の分類、その地域に生息する猛禽類の研究、森林に生息する野生動物の足跡や骨の研究、避難所の設営、森林の中での応急処置など多岐にわたりました。
生徒たちはたき火のまわりに集まり、火を使うときの安全性についても学びました。
ルーシーとジェイレンは森の中で骨を探して、分類するという興味深い発表をしました。
地面に落ちている鹿の角、足の骨や頭蓋骨などを見つけるのは、子どもたちにとってはわくわくする経験です。
たいが君は日本からの留学生
エステバンの協力を得て
アカオノスリ(赤尾鷹)についての発表をしました
それぞれの賞はどんな知識を得たか、どんな仕事をしたか、どんな問題を解決したかなどを反映しますが、とくにみんなで生活するという体験の中での社会性の成長が重視されます。
生徒たちはみんなの楽しい成功体験が一番の喜びだということを学びます。
キャンプで学んだことをあらわすバナーが
毎年創られます
来年は何を見ようか、何をしようか、何が発見できるだろうかという期待を胸に、1週間のキャンプが終わります。
都市や郊外など住んでいるところに関係なく、大自然はすべての子どもに魔法をかけてしまうようです。
すぐに、子どもたちは目にする木や草花や生物に心を惹かれていきます。
こうした環境でしか体験できない問題解決の機会もたくさんあります。
野山での1時間のハイキングであれ、湖のほとりでの2週間のキャンプであれ、子どもたちにはぜひ大自然の穏やかさと美しさを体験する機会を与えましょう。
それは子どもたちがもって生まれた権利です。