自閉症 ユウヤくんの サクセス・ストーリー


 

闘うチャンスをつかんだユウヤくん

とてもおとなしい赤ちゃんで、発達もゆっくりでした。
歩き始めても、話ができませんでした。
やっと言葉が出始めても、相手の言ったことをおうむ返しにするだけでした。

 

おとなしい赤ちゃんで 意味のある言葉を口にすることはありませんでした

他の子どもとは遊ばず、ひとりでおもちゃを一列に並べることを繰り返すばかりでした。
何事にも決まった順番があり、その通りにならないと壁に頭を打ちつけました。
3歳で自閉症と診断されました。幼稚園では、同年齢の子どもたちとの差は大きく開いていました。
質問されても答えないし、皆と一緒に遊ぶこともありませんでした。
独りで遊んだり、他の子を追いかけて叩いたりしていました。

 

学校でも他の子どもたちと
一緒に行動できませんでした

ユウヤくんが6歳のとき、ご両親は「あなたの脳障害児になにをしたらよいか」のコースを受講しました。
コースに参加してからユウヤくんをあらためて観察したご両親は、視覚の収束(見る対象に焦点を絞ること)に問題があり、音に対して過敏だと判断しました。
人ごみではよく手で耳をふさいでいました。
触覚も過敏で、雨にあたって少しでも服が濡れると、着替えずにはいられませんでした。 

 

両方の目を一緒に使うことが難しいのが
ご両親には解りました

 

身体のバランスが悪く、走り方もぎこちないし、同年齢の子どもたちのように片足で立ったり、片足跳びをしたりはできませんでした。
鉛筆やクレヨンをしっかり持てず、箸を使うこともできませんでした。
多動で、呼吸は浅く、そしゃくにも問題がありました。ご両親は初めて息子さんの問題を理解し、何をすべきかもわかりました。
お母さんとお父さんは、コースで学んだことをもとにしてプログラムをつくり、家庭で開始しました。
1年後には、目に見えて変わりました。
バランスがよくなり、歩いても走っても転ばなくなりました。
片足跳びや自転車に乗ることも、初めてできるようになりました。多動が激減し、腹を立てたときも自分を叩くなどの自傷行為はなくなりました。
人ごみでも落ち着いていて、聞き分けがよくなりました。
読めるようになり、恐竜や車など自分の好きな分野の本を楽しむようになりました。
時間、日にち、曜日も理解できるようになりました。
そして生まれて初めて、文章で自分の考えを表わすことができました。研究所スタッフが作成した新しいプログラムには、ランニングと体操が加わりました。
体操が得意といえるようになるのに、時間はかかりませんでした。

 

体操の技を披露しています

 

食物と空気中の物質によるアレルギーがかなりひどく、健康上の大きな問題でした。
頭が痛いと言って部屋に閉じこもり、数週間もその状態が続くこともありました。
栄養のプログラムでは非常に細かい指導があり、それを実施しました。
その後も研究所にくるたびに、その時々の状態でプログラムに手が加えられ、運動、知性、生理面のプログラムが充実していきました。
家族の全面的な協力と励ましを受けながら、ユウヤくんは固い決意でプログラムを続けました。文章を書き始めたのは8歳でしたが、その後も作文の能力は上達し続けました。
話す能力も向上し、精神的にもしっかりしていきました。
研究所スタッフとご両親は、ユウヤくんがそろそろ学校に行き始めてもよいだろうと意見が一致しました。
家庭で集中プログラムを続けながら、時間を限ってユウヤくんの学年レベルでの授業を受けたのですが、問題がなかったため、その後他の生徒と同じように学校に通うことになりました。学校に行き始めたときには、ユウヤくんの読む能力は、年齢レベルを大幅に上回っていました。
授業のノートもきちんととることができ、コンピュータでタイプするのもかなりの速度でこなしました。
すべての学科のテストで合格点を取り、運動面でも優秀で、新しいこともすぐに覚えました。
行動面もしっかりしていて、どんな状況のもとでも社会性の困難はありませんでした。
動けなくなるほどの頭痛もなくなり、健康状態はとてもよくなりました。

学校で友達もできました

 

家庭では理科系の勉強を続け、特に化学と工学に興味をもっていました。
研究論文を独りで楽しんで書き、学校の授業では科学の研究発表をしました。

学校の勉強もがんばった成果が出ています

 

規則正しい日常生活を送っています。
勉強も遊びも、きちんと時間を決めておこない、自分のスケジュールは完全に自分で管理しています。ユウヤくんは、責任感が強く、頼りになる人です。
ユウヤくんにはお姉さんがいますが、自分も弟のようにしっかりできたらいいなあと思うほどです。
体操が得意で、ボーイスカウト活動も熱心で、ハイキングの歩く速さと耐久力は抜群です。
研究所スタッフは、ユウヤくんがプログラムから卒業する段階に来ていると判断しました。
卒業のセレモニーに向かうエレベーターで、ユウヤくんとご両親に出会ったあるお母さんが言いました。
「こんなにしっかりしているのだから、ユウヤくんの障害はそれほど重くなかったのだろうと思ったのです。
でもすぐに思い出しました。
私たち家族が人間能力開発研究所に初めて行ったときに、ユウヤくんに会っていました。
ユウヤくんも初めての研究所訪問に来ていて、会ったことを思い出しました。
そして1週間の滞在の間、研究所の待合室でよく一緒になり、こんなに大変な子はこの先どうなるのかしらと思ったのです。
今こんなに立派になった彼を見て、障害があったと思う人はいないでしょう。」 

ユウヤくんのプログラムからの卒業記念写真
ご両親、スタッフとともに

 

高校二年の夏はボーイスカウトの世界ジャンボリーに参加し、シニアガイドとして外国から参加するスカウトたちのお手伝いをしました。
また、オートバイで活発に動き回っています。高校時代は建築か電子工学を学ぶことを目指していました。

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キックボクシングも楽しんでいます

第2種電気工事士と陸上、海上の第2種特殊無線技士の国家試験に合格し、その他にもいろいろな検定で資格を取得しました。

 

現在は希望した大学に通っています。
ユウヤくんは子どものころに、橋などの建造物を作ることに強い興味を示していたことを、ご両親は覚えています。
我が子が将来どんな道に進むにせよ、ご両親は背中を押して励まし続けています。

プログラムをしているころは毎日精いっぱい頑張らなければなりませんでしたが、現在は達成感と喜びを感じられる日々を送っています。

高校の恩師、福島先生が
ユウヤくんの卒業を祝ってくれました

 

ユウヤくんが送ってきたこれまでの人生の旅を振り返ってみると、その決意と粘り強さに感銘を受けずにはいられません。
他の子どもたちが楽しく遊んでいるとき、ユウヤくんは音や触覚に非常に敏感だったので、仲間に入ることができず孤独でした。
アレルギーのために体調を崩して家に閉じこもっていたこともあります。
こうした日々は過去のことになりました。
ここまでたどり着く道のりは厳しいものでしたが、今は達成感と喜びを感じられる日々を手にしています。
これから先どこへ行こうとも、何をしようとも、ユウヤくんは目的を達成するだけの自信と規律に支えられて人生を送ることでしょう。