小脳性運動失調 ジェイのサクセス・ストーリー


大きな問題があっても
ジェイには大きな可能性がありました

 

私の名前はジェイです。
人間能力開発研究所のニュースレターで小脳性運動失調と闘ったザックの記事を読みました。
私もザックと同じ脳の問題を抱えています。
1964年から1967年にかけてザックと同じプログラムをやっていたことを話したいと思います。
ザックについての話に私は胸を打たれ、心に温かいものを感じました。
小脳性運動失調を抱える子どもたちに、人間能力開発研究所がこれからも手を差し伸べ続けてくれることを心から祈っています。
同じような症状の子どもたちにも、私に与えられたチャンスを手にしてほしいのです。
私はこの記事を書かなければいけないと感じました。
小脳性運動失調の子どものいるご家族にとって、私の体験をお伝えするのはお役に立つだろうと思ったからです。
私は生まれたときから言語に問題がありました。
小児科と神経科の医師は、私の脳に障害があると診断しました。
当時小脳性運動失調というものは知られていませんでした。
小脳性運動失調という問題が医学的に認識されたのは1993年です。
私も現在私がかかっている神経科医も、生まれたときの状態から見て、私は小脳性運動失調だったと確信しています。私の身体の状態や認知能力を診た医師は、私の行動が異常であり、歩行とバランスが悪化していて、物事を論理的に理解することができないなどの判断をくだしました。
当時私の学校での成績はDとFばかりでした。
評価のあと、主治医と神経科医は人間能力開発研究所のことを母に話しました。
この研究所のプログラムの主な目的は、バランスと歩行を改善すること、認知能力と技術を向上させること、眼振を軽減させること、読みの能力を学年レベルまで引き上げることなどでした。
プログラムを始めたのは4年生のときで、6年生になるまで続けました。
プログラムを卒業した後、私の成績は向上してAとBとCになりましたし、行動面の問題もなくなりました。
歩き方も改善されました。
身体のバランスがうまくとれないという問題はほとんどなくなりましたが、歩き方はまだ正常とまではいっていませんでした。

高校では勉強もスポーツも楽しく取り組みました

 

言葉に少し不明瞭なところもまだありましたが、話し方も上手になりました。
両目の眼振は残っていましたが、以前ほどではなくなりました。
中学で始めたフットボールは高校まで続けました。
高校の時はゴルフチームでもプレイしていました。
フットボールとゴルフをしていた日々は忘れられません。
どちらのチームも州のトップレベルだったからです。
 
高校卒業後ブリン・ジュニア・カレッジに進み、AAの成績を収めました。
その後ターレトン州立大学に入り、理学士の学位を取得しました。

小学校の成績はDばかりで苦労していた少年が
理学士号を取得しました

 

カレッジ卒業後、私はテキサス州刑事司法省で看守の職に就き、しばらくして上級職に昇進しました。
看守として仕事をしながら、サン・ヒューストン州立大学に入学し、ソーシャル・リハビリテーションの大学院コースを受講しました。
仕事を続ける中で保護観察部門に異動となり、保護観察官に任命されました。
その間私は数多くの賞状、表彰を受けることとなりました。
この仕事を25年間続け、2004年に引退しました。
引退の記念に、テキサス州の議事堂に掲げられていた州旗を授与されました。

長年の業績を認められて表彰されました

 

よい人生を送るために必要な道具を私はもっていたのです。
私が正式にSCA 8(常染色体優性遺伝性脊髄小脳変性症)と診断されたのは2005年になってからです。
小さいころ大きな問題を抱えていた私が、大学にまで進めるなどとは多くの人が思っていなかったでしょう。
今日私がこうしていられるのは、何よりもまず私のことをあきらめなかった家族、プログラムを手伝ってくれたクラスメート、そして人間能力開発研究所があったからです。もちろん、私自身があきらめなかったことも大きな要因です。
私を助けてくれたのですから、人間能力開発研究所が他の子どもの助けになるに違いないと、ぜひここで言っておきたいのです。
子どものころに小脳性運動失調の症状であることが分かれば、大人になってからの人生の質を、私の場合よりも大きく向上させることができるでしょう。
私はプログラムをおこなっていた3年間の資料やプログラムの記録を、今でも手元にとってあります。
より良い人生を送るために必要な「手段」を与えてくれた人間能力開発研究所は、私の家族と言ってもよいでしょう。

現在のジェイ 妻のジャンと

 

64歳なる現在ですが、残念ながら小脳性運動失調の状態は悪化しています。
ただ、毎日かなりのエクササイズを続けています。
小脳性運動失調が完治することはありませんが、運動と正しい食生活を習慣づけることが何よりも大切です。

これが今までの私の人生です。

子どもでも大人でも、脳障害のために脳がうまく機能していない人々のことを、私はいつも思っています。
大切なのはあきらめないことです。

私やザック、そしてほかの子どもたちを助けてくれたことに感謝します。

ザックのサクセス・ストーリーはこちらからご覧いただけます。

小脳性運動失調
小脳性運動失調には急性、慢性の両方があります。
小脳性運動失調は、小脳虫部の損傷のような異常から始まる運動失調の一種です。
小脳は後頭部で、大脳の下、脳幹の近くにあり、身体の動きをコントロールするところです。
この種の運動失調は身体のバランスと動きの調整がうまくできないことが、最も一般的な症状として知られています。
他の症状(例えば疲労、認識問題や視覚の異常)が現れることもあります。