自閉症 シャオのサクセス・ストーリー あふれる才能と創造性


制作中のシャオ・シャン

 

シャオは緊急帝王切開で生まれました。
首には臍帯が巻き付いていて、手足にチアノーゼが見られました。
翌日には重度の黄疸が出ました。問題の最初の兆候ご両親は次のように言っています。
「1歳1か月になった息子が、だんだん声を出さなくなり、私たちと目を合わせなくなって、これはおかしいと感じました。
1歳6か月になると、言葉を全く発しなくなり、目を合わすこともなくなりました。」周囲とのかかわりもなくなり、シャオはどんどんと自分だけの世界に入っていきました。
明らかに多動で、夜もあまり寝ない息子に、ご両親は強い懸念を抱きました。
2歳で喘息を発症し、喘息発作のために5回も入院しました。「小児科医に相談したところ、シャオに問題があるとは考えられないと言われました。
発達の速度は個人差があるし、時間をかけて発達する子は多い。
シャオもその一人にすぎない、と言うのです。」しかし最終的には、ご両親が心配し恐れていたとおり、自閉症と診断されました。「自閉症のことは知っていました。
息子が自閉症とか、そのカテゴリーと診断されるかもしれないと思っていました。
悲しみと不安のなかでしたが、妻も私も、この子を救うために何かできることがあると感じていました。
息子への愛情はそれまで以上に強くなりましたが、脳障害だとは思ってもいませんでした。」ご両親はシャオが3歳のときに「あなたの脳障害児になにをしたらよいか」コースを受講し、息子を救うためにできることについて学びました。
このときシャオはまだ言葉を発せず、周囲のことも理解していませんでした。
多動と異常な行動は続いていました。
呼吸が浅く睡眠も不十分で、手を思うように使えませんでした。
聴覚にも問題があり、サイレンなどの音には気づかないようなのに、日常的な生活音は嫌がりました。
人ごみの中での騒音は、ハミングでかき消そうとしていました。
痛みを感じない、つま先立ちで歩く、走れないなどの問題もありました。コース修了後、ご両親は自宅でのプログラムを開始しました。お父さんは言います。研究所から学んだことで何よりも大切だと思ったのは、シャオは大きな可能性を秘めていて、その可能性を私たちが表に出してあげることを待っているのだということです。
脳障害によって閉じ込められているけれど、愛されたい、他のみんなと同じに扱ってほしいと望んでいるのです。
最初のレクチャーを聞いただけで、私たちは息子を助けられるという希望を持てました。」シャオに合わせた栄養プログラムや、細心の注意をはらって作られた脳の発達を促すプログラムを3年にわたっておこなった結果、6歳になったシャオに大きな進歩が見られました。
知性面のプログラムも大きな刺激となりました。
年齢より3歳上のレベルの本を読み、一度本を手にすると、取り上げることができないほどになりました。
理解力は年齢レベルあるいはそれ以上で、文章を使って話すようになり、初めて文章を書けるようになりました。
100メートルを1分で走り、大きな音や痛みにも普通に反応するようになりました。

 

家族総出のチームワーク

 

家族の献身的な支えは、プログラムの結果からもよくわかります。
14歳になった少年は、大人のレベルの本を速読していました。
地学、動物学、遺伝などの理科系のものを好み、1日に2冊も読んでいました。
コンピュータを使って文章を書き、美しい詩を創りました。
自転車に乗れるようになり、体操も上手にでき、100メートル走は22秒の記録です。
6年以上風邪ひとつひかず、健康を保っています。

 

 

 

 

研究所本部での機能評価
シャオ、お母さん、妹、擁護者の中谷内美紀と

 

今シャオはアーティストとして活躍しています。
表現豊かで目の覚めるようにきれいな風景画やポートレートを描き、なかでも動物を得意としています。
挿絵入りの本を書き、バッグやブラウスにデザインを施し、作品はプロのアーティストとして展示されました。

 

 

 

始まり:入り組んだなぐり描きのようなものから
始まった絵は、特別な雰囲気のあるものへと
発展し、自然や自分を取り囲む世界についての
作者のメッセージを伝えるものとなりました。

 

 

 

「ファンタジー」(紙に鉛筆)

 

 

 

わが子がこれまでに達成したことについて、ご両親は次のように述べています。

「純粋に誇らしく思います。
多くの困難を克服するために息子は戦ってきて、その戦いのすべての瞬間が英雄の行動です。
その努力を思うと、拍手喝采だけでは足りません。
母親、父親、妹だけでなく、彼を知り、彼を愛するすべての人の心に語りかけてくるのです。」

シャオ・シャンが成し遂げてきたこと:

    • 動物と自然への深い愛情を育みました。
    • 中国語を独学で覚えました。(父親よりも上手です。)
    • 英語の語彙が豊富です。(母親の語彙を超えています。)
    • 重度の喘息など、多くの病気を克服しました。
    • 運動面の能力では、ランニング、サイクリング、体操に優れています。
    • ヴァイオリンを学んでいます。

 

 

ヴァイオリンも大好き

 

何か新しい作品を手掛けているときがいちばん幸せです。
芸術的な才能は今も伸びています。
それは彼自身のアーティストとしての努力と献身のたまものです。
絵画作品を描き続け、作品の展覧会も何回も開かれました。
シンガポール・アート・アカデミーが主催し、東チモールのジョゼ・ラモス・ホルタ大統領が正式に開催した「美しき野生動物」と題した個展もそのひとつです。
2008年には、シンガポール・ユース・フェスティヴァル・コンペティションで銅賞を獲得しました。
2010年12月に出版された絵本「Hey, I know you」にはシャオが挿絵を描いています。

 

 

制作中のアーティスト

 

 

最近の作品:

「僕の友だち」ゴールデン・レトリーバー

 

シャオ・シャンのご両親から脳障害児のご両親へのアドバイス:

「お子さんをもっと愛しましょう。
娘さんや息子さんのすばらしいところに目をとめてください。
《あなたの脳障害児になにをしたらよいか》コースを受講して、出来るだけ早く集中的にプログラムを始めましょう。
家族や親にとって、何よりも報いられることなのですから。

 

 

シャオ・シャンの作品展

 

 

人間能力開発研究所が
「あなたの脳障害児になにをしたらよいか」
コースをシンガポールでおこなうとき
シャオ・シャンはいつも会場での
展示のために最新の作品を提供してくれます