お父さんのよいところ


「赤ちゃんの知性を何倍にもするには」コース
デモンストレーションで
お父さんと一緒に年表をつくるジェイク
「お母さんではない」ことは、お父さんの強みです。

この子はもうできるようになったのだから自分でやればいいと、あえて手を出さないのは、お父さんの素晴らしいところです。
お父さんは、他の子にはできないことがわが子はできるということをしっかりと見極めて、それを尊重するのです。
この無条件の尊敬は何よりも貴重な姿勢です。
子どもは他のなによりも、お父さんのそうした気持ちに反応するものなのです。

お父さんが素晴らしいもうひとつの理由は、限られた時間の中ですべきことをするという時間の概念を見失わないことです。

お母さんは「いつも時間が足りない」という大人の世界と、「この世の時間は全部自分のもの」と思っている子どもの世界にはさまれています。
この二つの世界がぶつかると、混乱が起こります。
お母さんはいつも、「時間が足りない」と「時間はいくらでもある」という二つの世界を結びつけようとしているのです。
どうやってもたどり着けないネバー・ネバー・ランドです。

お父さんの住む世界では「時間は限られている」「時は金なり」「今がチャンス」なのです。

子どもの運動プログラムをするとき、お父さんはただそれをこなすだけではありません。
「攻め」の姿勢で挑みます。
「パパがやると、私がやるときの半分の時間ですんでしまうのよ」と嬉しそうにこぼすお母さんが何とたくさんいることでしょう。

お父さんにとっては「やるのは今しかない」のです。
無駄な要素はありません。
お父さんがやるならば、今すぐにやるか、まったくやらないか、どちらかしかないのです。

お母さんは適応力のお手本のようなものです。
赤ちゃんをおなかに宿している9か月間、自分の体をどう適応させていったらよいかを身をもって学びます。
赤ちゃんが栄養を得られるように、赤ちゃんと自分が分かち合うことを学びます。
生まれてきた赤ちゃんの世話をするために、睡眠や食事の時間までも削ることを学んでいきます。
お母さんは「適応し対処する」名人なのです。一方お父さんのよいところは、融通の利かないお手本であるということです。
自分を赤ちゃんに合わせたりしませんし、したとしてもお母さんほどではありません。
赤ちゃんがお父さんに合わせるように、赤ちゃんを誘導するのが上手なのです。子どもが問題を解決しなければならないとき、お母さんはたいてい家じゅうを走り回って、問題を解決する策を探します。
その間待っている赤ちゃんは、待ちきれなくなることもあります。
お母さんは単調でおもしろくない部分を先にやって、楽しい部分は子どもにとっておこうとします。
子どもを運転席に座らせて、すべてうまくいくように注意深く道案内します。

子どもはそういうお母さんを嬉しく思うのと同じくらい、お父さんの存在も嬉しく思うのです。

なぜでしょう?

お母さんは子どもが自分で先へ進んで結果を出すチャンスを与えてくれる人であり、お父さんは指示にしたがって自分を適合させていく方法を教えてくれる人だということを、子どもはすぐに理解します。

神様と自然の世界が「父親」という存在を作り出したのは、素晴らしいアイディアでした。お父さんの最高によいところは、お父さんは「お母さんではない」ということです。
お母さんとお父さんがいることで、完璧なバランスが生まれるのです。最高の母親になれるのはお母さんだと私たちはよく言いますが、最高の父親になれるのはお父さんだと付け加えましょう。

最悪の日の最悪の瞬間でも、お母さんとお父さんは子どもたちにとって他の誰よりも頼りになる存在なのです。

最高の日の最高の瞬間に、お母さんとお父さん、そして子どもが一緒になったなら、この世でなによりも優しく、強く、見事な組み合わせが生まれることはまちがいありません。