生きていくうえで、毎日食べるものより大切なものはあまりありません。
食べるものが長期間全くない、あるいはほとんどないという飢餓状態を余儀なくされた人はいないとは言わないまでも、多くはないでしょう。
ほとんどの人は、食べ物が有り余るほどある世界に生まれてきているのです。
スーパーマーケットの棚に数えきれないほどさまざまな食べ物が並んでいるのはごく普通の光景ですが、世界中どこでもそうだというわけではありません。
かなり前のことですが、ポーランドからやってきたあるお母さんと話をしていて、そのことに気が付いたのです。
野菜は新鮮なものを、という話をしていたら、そのお母さんの顔が曇ったのです。
当時のポーランドではどんな野菜が手に入るか尋ねたところ、普通に手に入れることのできる生野菜は、ニンジンとタマネギの二種類だけということでした。
緑色の葉物野菜は欲しいと思うだけ無駄で、冷凍ものも流通していないし、あるのは缶詰だけだというのです。
フィラデルフィアに滞在中、スーパーマーケットに行ったかどうか尋ねました。
するとお母さんは、家族と一緒に一回だけ行ったと言いました。
まるでディズニーワールドにでも行った経験を話しているのかと思うくらいの話し方でした。
新鮮なイチゴが山のように積んである光景が目に焼き付いて離れないと言うのです。
とても美味しいけれど高価です
私たちアメリカ人は食べものに関しては世界一恵まれているに違いありません。
国内で栽培できないものはないくらいですし、どこへでも運ぶことができます。
アメリカ人は世界一健康な国民であってもいいはずです。
残念ながら、そうではありません。
アメリカは世界一肥満の多い国であるだけでなく、先進国のなかで最も健康状態の悪い国民であることは間違いないでしょう。
アメリカには「食べ物は体の燃料」であるという考え方がはるか昔に姿を消しているという問題があります。
なにか特別なときにご馳走を用意したり、なにかが特別にうまくいったときに、そのご褒美として食べ物で祝ったりすることはよくあります。
物事がうまくいかずに落ち込んだときも、食べ物で気を紛らせたりします。
美味しいけれど栄養的にはどうでしょう
私たちは「食べ物は体の燃料だ」と考えることはほとんどありません。
しかし食べ物は体の燃料と考えるのが正しいのです。
食べ物を体への治癒力とも思っていません。
そういう私たちにとって驚くべきことは、日常的な食べ物の薬効を大切にしている文化が定着していて、医薬品を使わずに健康を維持することを習慣にしているところがたくさんあるということです。
私たちは、ジャンクフードをお腹に詰め込み、挙句に胃が痛くなって、制酸剤などの胃薬に手を伸ばすということをしています。
ジャンクフードと薬のダブルパンチです。
まず、体が本当に必要としている質の高い燃料が供給されていないこと、そして、消化液を中和するための薬を投入されて、食物の適切な分解が妨げられる、ということです。
15年ほど前から「栄養」に興味を持つ人が爆発的に増え、関心の的になっています。
今ではだれもが栄養は大切であることを知っています。
先進社会に見られる徐々に悪化する慢性的な病気は、糖分、肉、乳製品、加工食品の摂りすぎが原因となっているかもしれないと言われていて、そのような食べ物に疑いの目が向けられるようになりました。
新鮮なココナッツウォーター