パトリック・バゴット医師とロシェル・バゴット医師は最新の研究論文の中で、21トリソミー(ダウン症)の子どもに、脳への働きかけを毎日くりかえしすると、発達を促進できると述べています。
人間能力開発研究所のプログラムをおこなった248人の21トリソミー(ダウン症)の子どもたちを対象に、その発達の記録を分析したもので、この論文はアメリカ内科・外科ジャーナル(The Journal of American Physicians and Surgeons)で発表されました。
パトリック・バゴット医師
この研究の対象となった子どもたちは、生理面に注意を払いながら体調を整え、脳への働きかけとして知性面、運動面、社会面のプログラムを毎日おこないました。
プログラムは、読み、算数、百科事典的知識などの早期能力開発プログラムに加えて、必要な場合は感覚刺激の働きかけをおこないます。
運動面の発達については、腹ばい、高ばい、歩行、ランニング、体操などをおこないます。
脳が成長と発達するのに最適な状態を保てるように、酸素量強化のプログラムと、一人ひとりに合わせた栄養のプログラムも取り入れます。
早期に知的発達を促すことは
子どもにとってかかせないことです
プログラムは家庭で実施します。
そのために、いろいろな分野で脳に働きかけることの重要性と、家の中の環境を脳が発達するために最良の状態にするには何をしたらよいかを、お母さん、お父さんは学びます。
親が教える
二人の研究者は、人間能力開発研究所のプログラムによる働きかけを開始してからは、子どもの脳の発達の速度が2倍になることに着目しました。
そして研究の対象となった子どもたちが達成している実質的な発達は、子どもに合わせて入念に作成された、内容豊かなプログラムの成果であるとしています。
腹ばいと高ばいは脳の発達にとって重要
読むことは子どもの知性を
伸ばすための脳への働きかけ
プログラムをしながら、親子は一緒に学びます
著者は論文をこのように結んでいます。
「ダウン症の子どもたちの発達の可能性は、一般的に思われているよりもはるかに大きい。
ここで取り上げた脳の発達を促す豊かな環境をつくるための方法は、21トリソミー(ダウン症)以外の場合や、健常な子どもの脳の発達の可能性を広げるためにも研究されるべきである。」