自閉症 ショーンのサクセス・ストーリー


診断名「自閉症」

現在: 成績優秀者

健常への道を自ら拓いた少年 ショーンのサクセス・ストーリー

自閉症と診断されたショーンは、非言語性学習障害もあると言われました。
この診断に加えてご両親に告げられたのは、おそろしい予後の見通しでした。
ショーンが11歳になったとき、ご両親は人間能力開発研究所の存在を知りました。

生まれたときショーンの体は青白く、直後に呼吸に問題がおきました。
医師の診断では、肺に水がたまっているとのことでした。
すぐに水を抜く治療を受けましたが、その間の1時間は呼吸困難の状態でした。
すぐに薬剤の投与が始まりました。
筋肉に力が入らず、お腹が痛くて泣いてばかりいる赤ちゃんでした。

生後数か月は大変な時期でしたが、それでもショーンの状態は良くなっているように見え、ご両親はショーンが他の赤ちゃんと同じように正常に発達していると思いました。
しかし学校に行き始めたショーンは、他の子どもについて行くことができませんでした。
4年生になったころ先生から、ショーンの行動に問題があり、学校の勉強もうまくいっていないという報告がありました。
教室での社会性にも問題がありました。
読み書きはショーンにとって非常に難しく、遅れをとるばかりでした。

 

息子のもつ問題への解決策を求めて、ご両親は「あなたの脳障害児になにをしたらよいか」コースを受講しました。
初めて研究所で機能診断を受けることになったとき、ご両親の心配はショーンが読み書きが年齢レベルでないこと、理解力も他の子どもたちより低いこと、歩いたり走ったりがスムーズにできないこと、行動が年齢相応でないことなどでした。
2歳下の弟と比べると、言語のレベルが低いという報告もありました。

コースを終えてすぐに、ショーンのために研究所スタッフが作成したプログラムを始めました。
その内容は腹ばいと高ばい、読み、総合的な栄養のプログラム、触覚刺激などでした。

 

ショーンは自分のためのプログラムであることを自覚し、毎日頑張りました

 

ショーンは知性面では非常に高いレベルにありながら、両目で焦点を合わせることが難しいという視覚の問題のために、読むことが大変だったのです。
これは脳の発達の問題で、そのために読むことや書くことが思うようにできないのです。
ご両親は視覚に働きかけるためのプログラムをおこなうのと同時に、ショーンが苦労せずに読めるよう、研究所の指導にしたがって読みの教材をつくりました。
その結果ショーンは、読むこと、書くこと、その他の学校の勉強などで進歩を見せました。

 

ご両親の手作りの本なら読むのに苦労しないことに気付いたのです

 

ショーンは、知性面でも運動面でも向上していきました。
集中的な運動プログラムによって、運動面で優秀になりました。
健康によい新鮮な食べ物を摂取する栄養のプログラムもしっかりとおこない、健康状態も大幅に向上しました。

動きの協調がよくなり、身体がしっかりして健康になったショーンは、運動するのは楽しいと言うようになりました。
家庭でおこなうプログラムの一環として体操を始めたショーンは、間もなく体操の競技会にも出場できるほど上達し、跳馬では60人の出場者の上位10位に入るまでになりました。

 

最近の体操競技会で決勝まで進みました

 

かつては読むことが難しかった少年は、いまや本の虫になり、1日に75~100ページを楽に読むようになりました。
読む速さと理解力は年齢レベルになり、数学と書くことも大幅に向上しました。

さらに、日常生活のあらゆる面で自立しています。
家庭でのプログラムをすべて自分独りでおこなうようになりました。
毎日の食事の献立つくりと調理も手掛け、自分のものは自分で洗濯し、弟たちの世話も手伝います。
12歳になったショーンは、同年齢の子どもたちよりも責任感が強く、しっかりしています。

ご両親はショーンは12歳で学校に復帰できると思いました。
これはショーンにとって重要な転換期となりました。
かつてはクラスメートに追いついていくだけでも非常に難しかったショーンが、学校に復帰して成功できるかどうかはとても重要なことだったのです。

学校に復帰したショーンは、勉強でも素晴らしい能力を発揮しました。
現在は10年生で、テストはすべてAかBの成績です。
成績優秀者のリストにも2回入りました。
さらに競泳でも優れたちからを発揮しています。

ショーンとご家族にとって、これは驚きに満ちた旅でした。
どんなに頑張っても学校でうまくいかなかった少年が、クラスのトップの位置を占めているのです。

 

現在のショーン