脳性まひ キラのサクセス・ストーリー


 

胎児が危険な状態にあり、出来るだけ早く出産させなければならないという医師の判断で、キラは予定より30日早く緊急帝王切開で生まれました。
生まれてきた赤ちゃんにはチアノーゼがあり、呼吸も弱かったため、人工呼吸器がつけられ、薬剤も投与されました。
経管栄養も始まりました。
入院中上部呼吸器系の感染症にかかり、回復までに2か月かかりました。

生まれてすぐに、後鼻孔閉鎖症と診断をされました。
これは柔らかい組織が鼻孔をふさいでいるという、先天的な異常です。
そのためキラはうまく呼吸ができず、生後16日で手術をすることになりました。
しかし手術後も呼吸の問題が続いたため、1歳2か月のときにもう一度手術を受けなければなりませんでした。

さらにキラには、脳性まひおよび精神遅滞の診断がくだされました。
ご両親はキラの発達の問題への解決策を探し始めました。

 

ご両親はキラを助けることができるという希望をもっていました

 

キラがちょうど1歳になったときに、ご両親は「あなたの脳障害児になにをしたらよいか」のコースを受講しました。
このころのキラは、床に置いても前に進むことができませんでした。
手とひざで上体を持ち上げて四つ這いになることはできましたが、そこから前に動くことはできませんでした。
要求を伝えるにも、声を発することができませんでした。
コース参加後、ご両親は家庭でプログラムを始めました。
コースで学んだ情報をもとに、キラの食生活を改善し、パタニング、読み、運動のプログラムを始めました。
運動面の発達を促し、腹ばいができるようになることを目指して、傾斜板を使いました。

 

傾斜板は、前に動くための助けとなりました

 

コースで学んだとおりに傾斜板を使い始めて6週間後、キラは手とひざで体を支えて、常に高ばいで動くようになりました。
徐々に距離を伸ばし、1日に800メートルの高ばいをするようになり、プログラムを始めて1年後には独りで歩けるようになりました。

 

キラは、自分の思い通りに動けるようになりました

 

ご両親によるプログラムが始まってから、キラは「読み」のヴィクトリーを獲得しました。
手とひざで体を支えての高ばいが移動の手段となりました。
ご両親の報告では、同年齢の子どもよりも理解力が優れているとのことです。
外に出ても、さまざまな種類の表面を歩くことができます。
自分の要求を伝えるために、たくさんの言葉が使えるようになりました。

キラがご両親のもとでこれまでに獲得したヴィクトリーに、お祝いを申し上げます。
これからもヴィクトリーを獲得し続けていくことでしょう。