ブラジル ベレンで講演会を開催 子どもの脳の発達について


地球上で最大の熱帯林にある都市ベレン

 

人間能力開発研究所のスタッフはベレンで2日間にわたり講演会をおこないました。
ベレンを州都とするパラー州からの参加者が大半を占めましたが、サンパウロ、レシフェ、マトグロッソ・ド・スルなどからの参加もありました。
ベレン:ヤシ科の植物
アサイーの密林に囲まれた自然豊かな街

 

人間能力開発研究所所長ジャネット・ドーマンと運動面のアソシエイト・ディレクターレイア・コエリョ―・ライリーが講演しました。
通訳を務めたのは、人間能力開発研究所で研修を受け、現在はプロフェッショナル・マザーであるタイ―ザ・メンデス・ヴァスケスです。

講演は、これまでの60年間の人間能力開発研究所の活動の歴史から始まりました。
人間能力開発研究所のスタッフが45年以上前にブラジル奥地の先住民を訪れ、世界で初めて調査・研究をしたという事実は、特に参加者の関心を呼びました。
ブラジルの伝説的存在であり、先住民局の局長であったクラウディオ・ヴィラス・ボアスの協力を得て、グレン・ドーマンとスタッフは調査をすることができました。
この40年の間にその地域が大きく変わって、前石器時代の暮らしをしていた先住民の環境が失われていったことを参加者の皆さんは思い起こしました。

 

人間能力開発研究所のメディカル・ディレクター
ロズリース・ウィルキンソン医師と
当時
19歳のジャネット・ドーマン

シング―地域のカラパロ族の村で

 

次に、治療の5原則の手順についての講演がありました。
この手順は、昏睡からの覚醒に始まり、新生児への刺激のプログラムに至るもので、人間能力開発研究所のプログラムの基本です。
なぜおこなうのか、なぜ有効なのかについて参加者は認識を新たにしていたことでしょう。

 

新生児や脳障害児の機能評価のための
発達プロファイルの使い方を説明する
ジャネット・ドーマン

 

人間能力開発研究所の発達プロファイルを使って、生まれてから12か月までの子どもの機能評価について説明しました。
発達プロファイルに照らし合わせれば、新生児や脳障害児の成長と発達がどこまで進んでいるかが、誰にでもはっきりとわかるのです。
さらに機能評価のしかたや、それをもとにどのようなプログラムをつくって刺激と機会を与える働きかけをするかについての話を聞き、参加者は理解を深めました。
重い脳障害のある子どもたちのうえにも大きな変化をもたらすことも実感しました。
また、これは健常な赤ちゃんにも有効です。
誕生から最初の12か月に、偶然を待つのではなく、意図的に効果のある働きかけをすれば、より良い人生のスタートをきることができるのです。最後に「健常への道」の3つの要素について話しました。
これは助けを必要としている子どものお母さん、お父さんに、生理面の正確な情報を提供するものです。
運動面、知性面、コミュニケーションの分野で、「知るべきこと」、「なにをしたらよいか」、「注意すべきこと」についての講演でした。

 

運動と呼吸についての質問に答える
レイア・コエリョ―・ライリー

 

二日間の講演会の最後には、たくさんの質問が出て、熱心な議論が会場の閉館時間まで続きました。

今回講演会を開催したベレンは、2015年の秋に「あなたの脳障害児になにをしたらよいか」コースを開催した場所です。
コースの参加者や専門家からさらに学びたいという要望があり、今回の講演会につながりました。

 

 

2017年11月には、ブラジルで「あなたの脳障害児になにをしたらよいか」コースを開催する予定です。
場所はクリチバになります。
ポルトガル語、英語、スペイン語で受講可能です。