脳が損傷された ときに現れる症状は何十種類もあります。脳がすべてをつかさどっていることを考えれば、当然のことでしょう。脳が損傷されて混乱が生じたとき、見ていても 心が痛む症状(発作、硬直、重大な病気、生育しない、など)もあれば、人から奇異の目を向けられる症状(叫ぶ、同じことを繰り返す、かみつく、においや味 に対する不適切な行動など)もあり、その他にも、はた目には奇妙、滑稽、不可解というような症状が百種類はあるでしょう。
脳障害児の多くは、このような、他人を驚かせたり、奇異に見えたりする症状をもとに診断 をくだされており、脳の機能を注意深く見て評価した結果に基づいた診断でないことが多いのです。症状に対する診断をしてしまうと、その問題が脳から発して いることを忘れて、症状に働きかけるだけの治療になってしまう恐れがあります。症 状がどんなに奇妙でも、どんなに不可解でも、その症状が現れるには、何らかの理由があるのです。わが子の状態をどのように評価したらよいかをご両親が知っ たならば、そして、子供の発達プロファイルを理解したならば、不可解と思われる症状の多くに納得がいくことでしょう。脳に適切な刺激とチャンスを与えたな らば、そうした症状は軽くなったり、消えたりしていくのです。