正 常な脳が損傷を受ける原因は、残念ながらたくさんあります。人間能力開発研究所にやってくる子供のなかには、お母さんの病気や怪我などで、胎内で育ってい る間に損傷を受けた赤ちゃんもいます。外傷、Rh因子の不適合、風疹、水頭症、薬物、アルコールなど、その要因はさまざまです。お母さん自身が、怪我や病 気に気づいていることもありますが、妊娠9か月までの間に、お母さんにも医師にもはっきりとは分からないところで、水頭症や酸素欠乏などの問題が発生して いることが多いのです。
脳のなかの水分が多すぎ る(水頭症)、脳腫瘍、血腫、頭蓋狭窄などの問題のある子供もいます。これらの状況は、脳外科的な介入が必要ですが、これらに関しては、人間能力開発研究 所にやってくる前に、すでに処置が済んでいるのが普通です。人間能力開発研究所にやってきたときに、こうした問題があってもまだそうとわかっていなかった り、診断がついていなかったりする場合には、脳外科によるしかるべき処置を勧めます。脳の問題が進行性のものであり、悪化を 続けている場合もあります。人間能力開発研究所には、進行性の脳の疾患のためのプログラムはありません。しかし私たちは、そのような問題をもつ子供につい ても、細かくチェックし、子供の人生の質を高めるためのお手伝いができるかどうかを考えます。子供によっては、問題は中枢神経系に起因するものではなく、 末梢神経系のものである場合もあります(脊髄損傷、小児麻痺、筋ジストロフィーなど)。残念ながら、人間能力開発研究所のプログラムは、これらの問題に働 きかけるものではありません。脳障害に至る経緯がどこから始まったかはさておき、脳が損傷される直前にあるのは、脳に送られるべき酸素の不足です。酸素は 脳の主要な栄養源です。いかなる原因であれ、脳に酸素が送られなくなる、あるいはその量が減ることで、脳は被害をこうむります。